自作アンテナ

スーパーラドアンテナ(Super Radiation Antena)

 東京時代のローカル局とスカイプで話していた時のこと、「今面白いアンテナを製作している」と言う。
どんなアンテナか聞くと、今までのアンテナ理論を覆すアンテナだとのこと。 簡単に言うと、IHヒーターの理論で作るアンテナで、非常に小型でフルサイズのDP並、又はそれ以上の性能があると言う。
7MHzでも直径9cm、長さ50cmの円筒形で出来、しかも水平偏波で打ち上げ角が低く、構造も簡単だと言う。
なんでも、そのアンテナを開発したのは2エリアのOMさんで(JA2PGU)、すでに業務用では特許申請しているとか。
 僕の家は細長い敷地の為もあって、ローバンドのアンテナはバーチカルかツェブのようなアンテナでなければ設置が難しい。 そんなことから一番下は14MHzのCQ止まり。 7や3.5MHzもやりたいのだが、東京時代以来これらのバンドからは遠ざかっていた。 
 早速ネットで検索してみると開発者のサイトの他、幾つかの製作記事をアップしているサイトが見つかった。
発明者さんのサイト
JA1JYC(ex JE1NCS)さんのブログ
JF1TLTさんのサイト
構造やアンテナ製作に必要な材料を見てみると、殆ど手持ちのもので作れそうだ。 ただ、初っぱなからローバンドの製作をするにはテスト他やりにくそうなので、50MHzのものでもっとも基本的な構造のシリンダータイプでリンクコイルによる給電方式から手始めに作ってみるとこにした。 
※技術的説明や考察、ノウハウ、製作詳細はOM 諸氏のサイトをご参照下さい。

製作〜室内でのテスト

 現用の50MHz用アンテナは自作GP。 
これは垂直偏派であるのに対してスーパーラドは水平偏波と言うことなので、SSBの帯域に共振させるように製作することにする。
 ボビンの径は38mmとして、これにCQ制作時に使った銅板をそのまま巻き付けて半田付け。 コイルは0.9mmの導線をスペース巻きに。 OM 諸氏が推奨されている自在ブッシュを使ってコイルを巻いて行く(13回巻き)。 メインコイルとシリンダー(銅板)は接続。
 リンクコイルはオーディオ用のピンケーブルを使い、ホット側オープンでコールド側は芯線とシールド線をショートさせる。
 以上のような簡単な構造で早速、50cm程の同軸を使ってアナライザーに接続して調整してみるが、同調点が見つからない。 室内だからかと思い、屋外でやってみるが、やはりダメ。

 その日の夜、スカイプで例のローカルに相談してみると、シリンダーとメインコイルの距離は極力近くしなければダメだとのこと。 なるほど、僕の作った物は1cm程離れている。
 それから、リンクコイルを自在ブッシュ上に巻いているので、これではリンクコイルを上下して調整する時、微妙な調整が出来ないと指摘された。(写真1)
ごもっとも。

 早速、シリンダーとメインコイルの間隔を最短に修正し、自在ブッシュをメインコイル下端でカットしてその部分に百均で買ってきた透明の写真入れを切って巻き付けセロテープで固定。 この上にリンクコイルを巻いてビニールテープで留める。 これでリンクコイルは自在に上下させることが出来る。 
 リンクコイルを上下しながら50.200に中心周波数が来るよう調整すると、意外と簡単にSWR:1.1、インピーダンス:50Ωに合ってしまった。
写真1 写真2

 調整がちゃんと合っていれば、アンテナに蛍光灯を近づけると赤々と、いや白々と光るらしいので実験してみた。(写真2)
 固定の50MHzは10W機(IC-575)なので、これに製作したアンテナを繋ぎ、念のためリグでSWRのチェックをしてみるとアナライザーと同じ結果。 
 店で使っていたFL40SWをアンテナの近くに立て掛け、モードをFMにしてPTTスイッチを押すと、な、な、なんと明るく点灯するではないか・・・・・結構明るい。 これで、ちゃんと電波が出ていることは確認できた。

 数日後、小山を挟んで6km程離れたローカルと交信してみた。 相手は4エレのHB9CV。 こちらは屋内(写真2の位置で左横にはPCやリグがある)。 ローカル方向にはオーディオルームがあるので壁が2つ。
 正確なSをとるため、SSBの帯域だけどFMで短時間QSOを敢行すると、向こうからのリポートは59。 こちらには59+20db。 まあ、相手は50Wだから強いのは当たり前だけれど20dbの違いは何なのか?
いずれにせよ、屋内でしかも小山を超えてのQSOでこのリポートは満足。

ベランダに仮設してのテスト

 屋内でのテスト後、今度は2階のベランダに仮設してテストしてみる。
同軸は7.4mの物を繋いでやはりアナライザーでチェックしてみるが、全然SWRが下がらない。 当然、インピーダンスも100Ω辺りをふらふら。 いくらリンクコイルを上下させてもダメだ。
 アンテナを屋内に戻し、リンクコイルを外してディップメーターをメインコイルとシリンダーのつなぎ目に近づけて計測。(製作過程でこの作業は行っていなかった) 同調点は51.2MHz? アナライザーではこの辺りだって全然ダメだったのに?? 念のため、コイルに銅線を半田付けして伸ばし、同調点を50.2辺りに調整。 再びベランダで調整するがやっぱりだめだ。 考えられるのは同軸ケーブルからの輻射か・・・・と言うことはやはり同調がずれている?
このアンテナは同軸からの輻射を使わないとのことなので、これではまずい。
 
 何をやってもらちがあかないので、取り敢えず出来る対策として同軸にコモンモードフィルターを入れてみることにする。 トロイダルコアをオークションで入手し、パッチン式コアとの2段構えでフィルターを作った。 ケースは百均のタッパー。
 果たしてどうか?
フィルターの効果はてきめんで、同調点はずれているものの、ちゃんと50ΩでSWR:1.1のポイントがある。
ただ、リンクコイルの上下で調整出来る範囲を超えているのでメインコイルのカットアンドトライ。
調整の結果、
ベランダへ仮設
コモンモードフィルター

50.000〜50.200   1〜1.1
50.200〜50.300   1.1〜1.2
50.300〜50.450   1.2〜1.4
 ちと低い方に同調しているがこのへんで妥協。
同調範囲が広すぎるのでゲインの点では少し落ちるが、この方が使い易そうだ。
 ただ、ちゃんと同調していればコモンモードフィルターはいらないとOMさんが書いてたので、やはりこれでも調整がずれているのかも知れない。(ゴーストに合わせている?) とは言いながら、5/8λのDP(自作)に比べて耳は良さそうだ。 

 最終的にメインコイルの巻き数は13巻き程度だったか。
コイルの巻き終わり部分が解けないようビニールテープを巻いたところ、折角調整した同調点がずれてしまった。 最後の1ターン分が僅かに緩んでいたのが、テープを巻くことで締められてリアクタンスに僅かな変化が起きたからだろうか。
ずれは僅かだったので、調整は簡単に終了した。
 この緩みを防止するには、最後の巻き部分で末端直前にある自在ブッシュの溝に当たるポイントに僅かに半田を盛っておく。 この半田を盛った部分を自在ブッシュの溝に押し込めば緩み留めになる。 ただ、高出力をかける場合、この方法や、仮とは言えビニールテープを巻く方法が良いのか安全面で疑問。

このアンテナを3階ベランダから上げてみた
再調整後、屋根から50cm程の位置に上げてSWRを見ると、50.00〜51.400
までを1.5以内でカバーしている。 SSB帯域は1.1で連続カバー。

防水について

 このアンテナはテスト用と実験用なので屋外の常設は考えていない。
取り敢えず、サランラップで軽く巻いて防水対策したが、7MHz用を将来作った場合、さてどう防水対策しようか。
 テープ類や紫外線カットフィルムを巻くと特性がまた変わる可能性がある。
と言って裸だと自在ブッシュが紫外線でボロボロになるのは見えている。
 一回り大きな塩ビパイプにすっぽり入れてトップにキャップを付け、本体はステーで固定すれば問題ないが大きくなってしまう。 まあ、何か考えよう。

実際に交信してみた

3階のベランダに仮設した状態で移動局を呼んでみた。
大阪の泉市の山の上から出ている局を呼んでみる。
まずはグランドプレーンで貰ったリポートが59。
相手のアンテナは5エレだが東方向に固定と言うからバックサイドになる。
続いてスーパラドに切り替えてリポートを貰うとやはり59で違いは感じないとのこと。
偏波面での違いを考えると、GPより有利な筈だが・・・・ただ、偏波面による違いは反転することもあるので判らない。
受信の方はと言うと、こちらも違いは感じられない。

ちなみに、試しにコモンモードフィルターを外してアナライザーで見てみると、帯域は450KHz内が1.5以内でこれを外れると高くなるものの、無しでも問題は無さそうだ。

性能に違いはないとは言うものの、アンテナの大きさを考えると、なんだかGPを上げているのが馬鹿らしくなってきた。
ただ、このGP、15年間一度も手にすら触れてないが何のトラブルもない。 信頼性の点では今のところやっぱりGPかな。 スーパーラドはローバンドを作った時に常設としよう。

なお、このアンテナはSWRとインピーダンスのベストポイントと共振周波数が一致しないらしい。
本来は共振周波数をしっかりとってから上記を調整することになっているが、今回はその逆をやっている。
ディップメーターで共振点の調整をしても、それではSWRもインピーダンスも全然合わない。(ゴーストに合っている場合が多いようで、それに騙される可能性が高い。)
時間をかけてちゃんと調整すればもっと良くなるだろうことは想像できる。
ちゃんと調整すればフルサイズのDPか以上の性能があるらしい。
打ち上げ角が低いことを考えると、DXではそれ以上の性能も期待出来そうだ。
試しに2号、3号とボビン径やシリンダーの大きさを変えた物を作ってみたので実験してみよう、
なにせ、机の上で短時間で簡単に製作出来てしまう。


防水対策

 同じ使用のアンテナをもうひとつ作ったので、今回は防水対策を施してみた。
方法は簡単で、パイプジョイントと自在ブッシュを使って、アンテナ本体を一回り太い塩ビ管内に固定する。
パイプジョイントの内側に自在ブッシュを貼り付けて、そこにアンテナを通すとドンピシャ、バッチリと収まる。

 右下の写真が真上から見た様子。
内側の黒いパイプがボビンで、ムカデのように凹凸しているのが自在ブッシュで、パイプジョイントの出っ張りに沿うようにブッシュの溝部分を押し込んである。 一番外側がパイプジョイント。

感 想


 このアンテナはローバンドで非常に有効になると思う。
なにせ、こんなにコンパクトであるにも拘わらずフルサイズで打ち上げ角も低いときていて、しかも水平偏波だから。
 
注意点

 すでにこのアンテナを製作された皆さんが述べてられますが、このアンテナ、一つ間違うと感電したり火を出したりする場合もあるようなので耐圧問題にはくれぐれも注意して下さい。 僕の場合、このアンテナには10W以上入れる予定はないので心配してませんが、もし自作される場合は先に書いたOMさん達のサイトを参照して下さい。
 製作はあくまでご自身の責任に於いて十分注意して行って下さい。
もっとも、僕のサイトだけでは全く参考にはならないとは思いますが。

次はディスクタイプの製作です。

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