日立 F656


MT管トランスレス

3バンド

マジックアイ付





 リサイクルショップで購入したレストア済みの3バンドラジオ(SW・MW・FM)。
SW・MW・FMなんて表記は考えてみるとおかしな表記方法だと思ってしまう。 SWは短波、MWは中波を意味して周波数帯(バンド)を意味する表記だね。 変調方式は振幅変調、つまりAMのことだけれど、FMもこれと同じ変調方式のことで周波数変調を意味する。 FM放送の周波数帯域はVHF帯になるからSW・MW・VHFと言う方が自然な感じはする。
 
 さて、このラジオ、PU端子が付いているのでオーディオルームに置いてFMとCD、カセットテープの再生用に使うつもりで買ったもの。
オーディオルームにはすでにクリスキットのマルチシステムがあって、これ以上の再生装置は必要も無いのだけれどチューナーが無いことと、古い録音の曲は古い装置で、それもラジオで聴いてみたいと言う欲求に駆られて衝動買いしてしまったのだ。
 CDとカセットテープの再生と言っても、メインシステムのデッキ達を繋ぐ訳ではない。
繋ぐのは数千円で買ったCDラジカセ。 実のところ、こんな構成でどの程度の音が出るのか心配だったが、いざオーディオルームで音だししてみて驚いた。 懐かしい音の響きが部屋中に広がって、とてもこんな小さなラジオから出ているとは思えない響きがするじゃないか。
 勿論、実際の生演奏を想定したような聴き方にはほど遠いのだけれど、ノスタルジックな世界に浸るには十分すぎる音の世界が展開する。

 このラジオが我が家にやってきた頃、調子が悪くて修理をしたばかりのミニコンセットがオーディオルームに置いてあった。 これは長女が使っているコンポなんだけれど、カセットデッキの蓋の開閉スプリングが駄目になって交換し終わったところだった。 
 コンポの上には僕が編集したナツメロ集のCD達。
「銀座カンカン娘」や「買い物ブギ」「東京ウギウギ」「東京ドドンパ娘」・・・・江利チエミの「テネシーワルツ」なんて曲を入れてある。 もう一枚はちあきなおみ集。 こんなのをラジオとミニコンで再生して聴き比べてみる。
 当然、どっちの音質がいいのかって聴かれると、まあ、ミニコンの方がいいのかも知れない。
じゃあ、どっちの装置でこれらの曲を聴きたいかと聞かれると、僕の場合は躊躇なくラジオの方を選ぶな。
この時代の曲、録音をBGMとして聴くなら真空管ラジオを選ぶ。

 じゃあメインシステムも真空管式にすればええじゃないかってなるんだけど、それがそうでもないのが不思議なところだね。 ラジオだから許せるって訳じゃないけれどね、僕にとってはそんな存在です。

 僕は決して真空管アンプを否定している訳ではないんです。
オーディオのコーナーでも書いたとおり、人にはそれぞれ自分の好みの音があると思う。 その好みが僕にとってはクリスキットだという、それだけのことです。
 僕にとって、気を入れて音楽を楽しみたいときはやはりクリスキットなんですね。
気を入れて聴いてても疲れない、気を入れて聴いていられるのがクリスキット。
 何かをしながらBGMとして疲れること無く聴いていられるのが真空管ラジオ。
帯域は狭くても、不思議に落ち着く音、体に染みこんでくるような不思議な安心感のある音。