Canon FTbのリストア
 
 高三の時、欧州旅行用にキャノンFTbを買ったが、その後ロンドン滞在中、ステレオセットが欲しくてイギリス人の友達に売ってしまった。 このシリーズのFDレンズが好きで、それ以後も欲しいと思いつつ使う機会がなく月日が過ぎ去っていった。 いつだったか、このカメラ(標準、広角、望遠の各レンズ付)を親友から貰ったのだが・・・その後、ミノルタのX-700を購入したこともあり、その後何十年も未使用のまま月日が流れてしまった。
 先日、久しぶりにカメラを取り出してみると、巻き上げレバーとシャッターの動きが悪い上に、ファインダーレンズが完璧に曇っていて、まるですりガラスを通して見ているようだ。 しかもゴミも結構溜まっている。
 別に使う予定はないものの、このまま放っておいてはただのゴミ屑になってしまう。 最近はフィルムカメラを使う機会もなくなったが、ダメ元と思い、このカメラの分解掃除を試みた。 因みに、カメラを分解するのは生まれて初めてである。

巻き上げレバーとシャッターの動きが悪い
  小さなビスを3本外すと簡単に底蓋を外すことが出来る。
メンテナンスとは言え、この後、部品を外してしまうととても元に組む自信がない。 不具合はレバーやシャッターの動きが渋いってことなので、原因は恐らく汚れやオイルの固着。 当然、分解しての部品のクリーニングと給油がベストだが、ここは手抜きメンテで我慢しよう。
 方法は超簡単。
まずは、巻き上げレバーやシャッターを動かして駆動部を確認し、その駆動部に接点クリーナーを多めにスプレーする。 接点クリーナーは揮発性で短時間で蒸発するので、吹きつけてすぐに何度かレバー操作やシャッター操作をする。 捲け出た汚れを綿棒やティッシュで拭きとる。
暫く時間をおいてから駆動部にミシン油を少量注す。(後で考えると、テフロン油の方がよかったかと思うが・・・)  
 以上の作業直後では完全な改善は認められなかったが、1週間後に確認すると快調に動作するようになっていた。

ファインダーの汚れとゴミ

 ファインダーの汚れはレンズの内側なので、分解してレンズを磨くしか方法がないし、プリズムの汚れもあるかも知れない。 ここはやはりカメラの軍艦部の分解が必須。 ただ、ここで一つ問題がある・・・・巻き上げレバーとシャッターダイアルを外すには、カニ目コンパスと言う工具が必要なのだ。 何か方法はないかとネットで検索してみると、百均のコンパス2個で代用する方法があるではないか。 1個100円のコンパスを2個買い、1本の針部分を取り外してもう1本の芯部分と換装するという至って簡単な方法。 ただ、結構きゃしゃな構造なので、使うときは慎重に。
 実際の分解は、結構いろんな方が公開されているので、簡単に手順を書いてみると:
 1. 小さいビスを取り外すが、1本だけ長いのがあるのでそのビスの位置を覚えておく。
 2. シャッターダイアルのシャッターは1/1000、感度は100にセットしておく。
 3. 巻き上げレバーやシャッターダイアルを外すときは、作ったコンパスの針の近くを持ち、じわっと力をかけて回す。
 4. 巻き上げレバー、シャッターダイアル、巻き戻しクランク、シャッター安全ロック、電池カバーと電池を外す。
 5. 軍艦部を外すときはカメラを寝かしてゆっくり、徐々に外す。
普通に上向きで外すと、部品がラパラと落ちてくる可能性があります。
 6. 外した部品は向きと順番、位置が分かるように並べておく。
7 プリズムを留めてある2本のビスを外す。
 プリズムはしっかり本体にはめ込まれているので、注意しながら取外す。 この状態でもファインダーレンズはクリーニングできるが、レンズを留めてある2本のビスを外すとレンズも枠事取り外せる。 なお、この時、スクリーン上に絞り表示と露出表示の細い指示棒(と言うより針)があるので、これを引っ掛けないように注意する。
 掃除するのはファインダーレンズとプリズム及びその周囲。
無水アルコールを綿棒やティッシュにつけて汚れやごみを除去する。 このカメラの場合、レンズには黄色い汚れがびっしり、まるでコーティングされたように付着していたので結構時間を要した。 幸いプリズムは汚れも腐食もなかった。

   
取外した軍艦部と作ったカニ目コンパス プリズムを外した状態

測光部のメンテナンス

 念のため測光部のメンテナンスも行う。
・メータースイッチ
 メータースイッチの接点部を接点クリーナーで洗浄後、接点復活剤を少量塗布。
・2か所の接点を上記同様に洗浄し、接点復活剤を少量塗布後拭きとる。
・結線の半田部を全て再半田。
・バッテリーケース内の接点を洗浄。
   
測光システムの2か所の接点  メンテナンス完了のCanon FTb

組上げ時の注意点

・座金類の位置や、ほかの部品の向きや位置を間違えると組めない、組めても動作がおかしくなる。
・シャッター安全ロックを取り付けるときも上記同様に要注意。
・軍艦部を取り付けるとき、測光システムの信号線を挟み込まないよう注意。

 以上の作業でこの古いカメラが蘇った。
すりガラス越しに見るようだったファインダーはほぼ新品かと思うほどに明るくクリアに、ゴミも無くなった。
渋かった巻き上げやシャッターは快調に動くようになった。

なお、万が一この作業を行う場合は自己責任で行ってください。
私は決してカメラマニアでもなく、ましてプロでもないのでご質問にはお答えできません。

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