マイクロバートアンテナ(7MHz) 東京時代はナガラのTA-334を使っていたので7MHzも時々楽しんでいたが、洲本に帰ってクワッドを作り、50MHz用にGPを作る際に334のエレメントを流用したことからこのアンテナが使用できなくなり、以来このバンドは25年以上ご無沙汰していた。 最近(2015年)になって急に7MHzにも出てみたくなり、アンテナの自作を検討していたが、自宅の敷地が細長いこともあってワイヤーアンテナは難しいし、釣竿アンテナは台風に弱そう・・・・などの事情で、比較的再現性の高いマイクロバートアンテナを作ってみることにした。 アンテナの設計 アンテナの設計はこちらのサイトを参考にした。 7MHzの場合、ラジエーター長は1.3m程度からでも可能なようだが、僕の場合は2mとして設定し、中心周波数は7.1MHzとした。設計といってもこちらのような便利なカリキュレーターがあるので、ものの数分もあれば完了する。 構造としてはラジアル分離型とする。 上記の条件の場合だと、要求されるコイルのインダクタンスは17.17μHで、1.1mmのエナメル線の場合で27.8巻き(コイル径:32mm)、ラジアル長8.47m・・・・・などさまざまな条件が表示される。 ラジエーターはTA-334の残骸が使えるのと、塩ビパイプも32mmのがあるから、トロイダルコア(FT240-43)とこれを入れるケースがあれば製作にかかれる。 LCFメーター アンテナの製作にかかる前にひとつ欲しいものがあったので購入した。 以前、スーパーラドを作ったとき、LCメーターがあれば便利だろうと思っていたのだが、安くて良さそうなのが見当たらなかったので購入には至らなかった。 今回、ネットを検索していてアマゾンでNFJのLCFメーター(ケースなしのバルクもの)が安く出ていたので購入した。 そのままだとケースが無いので、百均で丁度良いサイズのケースがあったので購入してみた。メーターにはちゃんとケース固定用のスペーサーも付いているので、ケースに穴を開けて固定して、これで立派なLCFメーターの完成。 すべての費用こみで3,000円でお釣りがくるから安い。 製 作 1.ラジエーター 27年前まで使っていたTA-334(3エレ八木)のエレメントを使うことにする。 まずはサンドペーパーでエレメントを磨き、長さ調節部分は鉄ノコで切りカキを入れてトライドンバンドで締め付ける。 接続部分には電導グリスを塗って、組み付けたらナガラのテナコートを塗布してラジエーター完成。 2.コイル 32mmの塩ビパイプにコイルを巻きつける。 カリキュレーターでコイルの巻き数はでるものの、手持ちのエナメル線は2mmちょっとあるから、この数字をそのまま当てはめることは出来そうにない。 そこで、LCRメーターの出番となり、実際のコイル巻きはこのメーターで計測しながら行った。結果的には18.4μHで作業を進めることに。 最後に自己融着テープを巻き、その上からビニールテープを巻いて防水。 3.RFチョーク チョークはホームセンターで配電箱を買ってきてこれを加工したものの中に収納。 FT240-43に手持ちの3C2Vを12回巻いてLCFメーターで計測すると161μH。今回は同軸をカウンターポイズとして使うのではなく、ラジアル分離型にするので、この部分でラジエーターとラジアルを分離させる。 完成後、配電箱の周囲をコーキング剤で防水して完了。 調 整 出来上がったアンテナを2階のベランダからパイプに取り付けて設置。(地上高は7m位か) ラジアルはベランダから下に垂らし、余った部分は塀に沿わせてセットした。 この状態でアナライザーで計測すると同調点は6.9MHzで1.0で、7.1MHzまでなら問題なく使えそう。 ただ、7MHzは7.2まで使えるので、これではもったいないので、ラジアル(IV線)を切って調整することに。カットアンドトライで最終的に7.06MHzでSWRは1.0に収まり、7.2MHzでも1.5に収まっている。 結局、ラジエーターもコイルも触らずにラジアルのカットだけで調整を完了した。
印 象 このアンテナ、少しノイジーというようなリポートも見かけるが、当局での印象は普通。 今まではクワッドで聞いていたが、クワッドに比べてSで4位よく聞こえる。(14・21・28だから当たり前か) 帯域も結構広く、このバンドをSWR1〜1.5程度でカバーしている。 ただ、ラジアルの位置を動かすとSWRも影響を受けるが、一度位置を決めてしまえば触ることもなさそうだ。雨の日は多少帯域がずれるのはご愛嬌。 とにかく再現性は抜群に良さそうだ。 新規購入したLCFメーターも価格の割りにしっかり仕事をしてくれているようで、今回の製作はほぼ計算どおりで、ただ使うなら無調整でも使える状態で組みあがった。 ひとつ難点を言えば、TA-334のアルミ材の肉厚が分厚く結構重いためトップヘビーとなり、はじめはTA-334のブームをマストにするつもりだったが強度が心配で、以前友達にもらったガス管との2本束ねでマストとした。) せっかく完成したものの、インターフェアの心配もあり、ご近所さんに説明とお願いのプリントを配って説明してからでないと本格運用は出来ない。ただ、テスト的に100Wで何度か電波を出した限りでは自宅やすぐお隣さんでは問題ないようだ。 2015年7月11日 IARU HF CHAMPIONSHIP まだプリントは配ってはいないものの、町内会の集まりの場で簡単に説明と協力を依頼したこともあり、ためしにこのコンテストで4局だけ呼んでみた。結果はすべて一発コールでプリフィックスをとって貰い、無事コンテストナンバーの交換も出来た。 HS0AC タイ VR2XMT 香港 NX6T USA ちょっと苦労したが無事CFM 9M4CC 西マレーシア 2015年9月5日 ALL ASIA こちらもちょっと冷やかしとテストのつもりで呼んでみたもの。 コンテストとはいえ、どれも一発コールでとってもらえた。 N6RO USA DU1JM フィリピン RT0F アジア圏ロシア LU2FCB アルゼンチン KH7CW ハワイ AH0BT マリアナ諸島 出力は100WですべてSSB。 CQを使っての14から28MHzでのDXならこれほど感動しないが、7MHzに出るのは27年ぶり。 東京でやってた頃はTA-334だから、7MHzはロータリーダイポールだったし、出力も10Wだった。 21と28では6年間で286カントリー出来た(当然10Wです)が、7MHzは韓国とロシア沿海州だけだった。 しかも、地上高7m程度のマイクロバートアンテナだから、100W出しての交信とは言え、久しぶりの感動だった。 結果、言えることは・・・・結構使えます。 相手のアンテナさえ良ければ十分DXが楽しめる。 ラジアルの改造 ラジアルはIV線を使っているが、雨が降ると同調点が低い方に変化する。 CQではこんなこと起きないが、TA-334を使っていた頃はトラップコイルに雨が入るためか、この変化に悩まされた。 ラジアルの張り方を変えるか、コネクターを使ってIV線を延長できるようにするか・・・・でも不便だ。 そこで、IV線の先にアルミパイプのエレメントを付けることにした。 八木のエレメントのように、径の違うエレメントをスライドして出し入れ出来るようにすれば良い。幸い、エレメントの廃材でいいのがあるので早速実行した。 結果は上々で、晴れのときと雨のときの調整位置をマジックでマーキングしておくことで、同調点が変化しても簡単に調整できるし、運用したい周波数にほぼ完璧に同調点をもって行くことが出来る。 玄関先に写真のようにラジアルの先端をセットしてあるので、調整は簡単に出来る。 ※このラジアルを取り付けてあるのはベランダの支え(アルミ製)で、この上にあるベランダからMVを上げてある。 ラジエーターの根元から細い線が出ているが、これがIV線のラジアルで、MVのチョークコイルに繋がっている。
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