昔、僕がまだロンドンに住んでいた頃、僕は土曜日になるとポートベロ・
マーケットに出かけたもんだ。 ポートベロと言えば骨董市で有名だけど、
このマーケットへ行くと必ず見かけたおじさんがいた。
このおじさんは一本足のハンドオルガンを演奏していて、いつもオウムを
肩にのっけていた。 まあ、このマーケットの名物おじさんってとこか。
数年前、長女がロンドンを訪れた時、彼女もこのマーケットに行き、一枚の
写真を撮ってきた。 そこには僕が見慣れたハンドオルガンを回している
一人の老女の姿が写っていた。 おや?っと思い、その写真をよく見ると、
彼女が演奏しているハンドオルガンには一枚の小さな写真が貼り付けて
あるように見える。 その写真は・・・・・そう、あのおじさんだ。
もう亡くなったのだろうなあ、あれから30年近く経っている。
彼女はあのおじさんの奥さんか娘さんかなんかだろう。
何だか、とても古い友人にあったような思いがした。
この写真を見ていて、そんな事が頭をよぎった。
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