別に使う予定はないものの、このまま放っておいてはただのゴミ屑になってしまう。 最近はフィルムカメラを使う機会もなくなったが、ダメ元と思い、このカメラの分解掃除を試みた。 因みに、カメラを分解するのは生まれて初めてである。
●巻き上げレバーとシャッターの動きが悪い
小さなビスを3本外すと簡単に底蓋を外すことが出来る。
メンテナンスとは言え、この後、部品を外してしまうととても元に組む自信がない。 不具合はレバーやシャッターの動きが渋いってことなので、原因は恐らく汚れやオイルの固着。 当然、分解しての部品のクリーニングと給油がベストだが、ここは手抜きメンテで我慢しよう。
方法は超簡単。
まずは、巻き上げレバーやシャッターを動かして駆動部を確認し、その駆動部に接点クリーナーを多めにスプレーする。 接点クリーナーは揮発性で短時間で蒸発するので、吹きつけてすぐに何度かレバー操作やシャッター操作をする。 捲け出た汚れを綿棒やティッシュで拭きとる。
暫く時間をおいてから駆動部にミシン油を少量注す。(後で考えると、テフロン油の方がよかったかと思うが・・・)
以上の作業直後では完全な改善は認められなかったが、1週間後に確認すると快調に動作するようになっていた。 |
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●ファインダーの汚れとゴミ
ファインダーの汚れはレンズの内側なので、分解してレンズを磨くしか方法がないし、プリズムの汚れもあるかも知れない。 ここはやはりカメラの軍艦部の分解が必須。 ただ、ここで一つ問題がある・・・・巻き上げレバーとシャッターダイアルを外すには、カニ目コンパスと言う工具が必要なのだ。 何か方法はないかとネットで検索してみると、百均のコンパス2個で代用する方法があるではないか。 1個100円のコンパスを2個買い、1本の針部分を取り外してもう1本の芯部分と換装するという至って簡単な方法。 ただ、結構きゃしゃな構造なので、使うときは慎重に。
実際の分解は、結構いろんな方が公開されているので、簡単に手順を書いてみると:
1. |
小さいビスを取り外すが、1本だけ長いのがあるのでそのビスの位置を覚えておく。 |
2. |
シャッターダイアルのシャッターは1/1000、感度は100にセットしておく。 |
3. |
巻き上げレバーやシャッターダイアルを外すときは、作ったコンパスの針の近くを持ち、じわっと力をかけて回す。 |
4. |
巻き上げレバー、シャッターダイアル、巻き戻しクランク、シャッター安全ロック、電池カバーと電池を外す。 |
5. |
軍艦部を外すときはカメラを寝かしてゆっくり、徐々に外す。
普通に上向きで外すと、部品がパラパラと落ちてくる可能性があります。 |
6. |
外した部品は向きと順番、位置が分かるように並べておく。 |
7 |
プリズムを留めてある2本のビスを外す。 |
プリズムはしっかり本体にはめ込まれているので、注意しながら取外す。 この状態でもファインダーレンズはクリーニングできるが、レンズを留めてある2本のビスを外すとレンズも枠事取り外せる。 なお、この時、スクリーン上に絞り表示と露出表示の細い指示棒(と言うより針)があるので、これを引っ掛けないように注意する。
掃除するのはファインダーレンズとプリズム及びその周囲。
無水アルコールを綿棒やティッシュにつけて汚れやごみを除去する。 このカメラの場合、レンズには黄色い汚れがびっしり、まるでコーティングされたように付着していたので結構時間を要した。 幸いプリズムは汚れも腐食もなかった。
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取外した軍艦部と作ったカニ目コンパス |
プリズムを外した状態 |
●測光部のメンテナンス
念のため測光部のメンテナンスも行う。
・メータースイッチ
メータースイッチの接点部を接点クリーナーで洗浄後、接点復活剤を少量塗布。
・2か所の接点を上記同様に洗浄し、接点復活剤を少量塗布後拭きとる。
・結線の半田部を全て再半田。
・バッテリーケース内の接点を洗浄。
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測光システムの2か所の接点 |
メンテナンス完了のCanon FTb |
●組上げ時の注意点
・座金類の位置や、ほかの部品の向きや位置を間違えると組めない、組めても動作がおかしくなる。
・シャッター安全ロックを取り付けるときも上記同様に要注意。
・軍艦部を取り付けるとき、測光システムの信号線を挟み込まないよう注意。
以上の作業でこの古いカメラが蘇った。
すりガラス越しに見るようだったファインダーはほぼ新品かと思うほどに明るくクリアに、ゴミも無くなった。
渋かった巻き上げやシャッターは快調に動くようになった。
なお、万が一この作業を行う場合は自己責任で行ってください。
私は決してカメラマニアでもなく、ましてプロでもないのでご質問にはお答えできません。