東京の環八だったか環七だったかの通りにBeBeと言う店がある。
無線友達がヨタ8を買いたいと言うので一緒に店を廻っている時、この店に出くわした。
店内にえらく小さなクラシックカーが展示してある。    無線友達へ  GO

「おい、こりゃあ原付だぜ。」
「いいなあ、小さくて小粋なのがいいって。」

この友達、ヨタ8の事などどこえやらで、この小さな車がえらく気に入ったよう。
店の人に聞いてみると、車は組立キットだと言う。 「ますますいいねえ〜。」
エンジンになるスクーターとこのキット、その場で購入を決定。

その週から車との格闘が始まった・・・・と言っても、彼が殆どやったんだけど、とにかく、試行錯誤の末、無事完成し手続きも済ませて試験走行。
イグニッションキーを彼が回す「3・・2・・1」・・・・あ〜心臓がバクバクする。
「ブルーン」 何と頼りある音だ・・・・・・僕らが造った原付、でも ジャガー1936年モデル。


 

彼がこの車に乗り、僕はその後ろを僕の車で走る。
三鷹の彼のアパートを出て調布方面に向かい、30m道路に出てから左折。
僕らがよく行くオートバックスがあって、その横にロイヤルホストだったかのファミレスがある。
ここに入ってコーヒーとケーキでささやかな完成祝い。 仲間への披露の仕方を2人で色々と考え、さあと駐車場に出ると、我らがジャガーの姿が人垣の中に埋もれているではないか。

「お前んだから、お前が運転して帰れよ。」 恥ずかしがり屋で照れ屋の奴が、こんな人混みの中、これを掻き分けて乗車出来る筈がない。 お前の性格、ぜ〜んぶお見通しだよ〜だ。
「だ〜めだよ、そんなことしたら口から心臓出てくるよ。」 「いや、ダメだ。 あれはお前の車。」
「じゃ、ジャンケンしよう。・・・負けたら運転。」 
「いや、一回じゃだめだ、3回やって2回勝ったら・・・・」
「2回勝ったら何? 運転? どっち?」
「TBCと俺とどっちがジャンケン強かったっけ?」
「アホ、んなこと言えるか。」

結局、もう一度レストランに入って、今度は車が見える所に席をとって人が少なくなるまで待機。
薄暗くなってからやっと彼はしぶしぶ車の所え。


奴と付き合って20年以上。
一度たりとも、何に対しても愚痴を言ったことのない奴の、あの屈託ない笑い顔が懐かしい。
今この車は奴の実家、鹿児島に大切に保管されている。
QEJよ、はよ無線再開しろ。 鹿児島となら何時でも無線で話せるぞ。

 
                                      写真撮影:masa

                                       Home