アルミパイプで作るYoshii9もどき
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先日、Timedomein社のYoshii9を聴く機会があった。
何を聴くかで違うと思うが、僕が作った塩ビ管スピーカーとは随分違う音だった。 管が塩ビと硬質アルミでは違って当然だとは想像していたが、音のリアルさという点で僕の塩ビ管SPは全くかなわないかな。
誤解を恐れずに言えば、僕の塩ビ管SPはホールの後の方で聴くような音。 ホール内壁が木で出来てるような場合の音がこんな音だ。 サラ・ボーンなんかはこっちの方が好きだね。
一方、本物はより直接音を聴いているような、そう楽器の音と言うべきかな。 音の鮮度という点で、残念ながら僕の塩ビ管では比ぶべきもない。 |
動機
本物を聴く前からアルミ管で作ってみたいとは考えていた。
僕は無線も趣味で、愛用の短波アンテナは1996年頃に自作したキュピカルクワッドというループアンテナ。
このアンテナのブーム(エレメントを支える骨になる部分)に直径5cmの硬質アルミパイプを使っていた。 数年前の台風の折、このパイプが中央部で曲がってしまい、現在は足場パイプを使用している。
高価なパイプなので捨てるのも勿体ないし、何かに使えるだろうととってあったのだ。
これを使わない手はない。
そこで、実験用にこのパイプでもう1セット作ってみようと言うことになった。
丁度、PC用のSPで直径5cmの物がペアで手元にあるから、それを使える。
構造
基本的には先に作った物と同じだが、SPユニットは5cm径。
口径が小さいのでパイプの長さは50cmとした。 また、どこでも気楽に持ち運べるようにSPは航空ベニアに4本のネジで軽く固定する。 勿論、航空ベニアとSPユニットの間にはゲル(ゲル・OK・パッキン)を挟み、ネジで軽く押さえ込むような構造だ。 これなら、SPの振動はネジ経由で航空ベニアに伝わるとは言え、その影響は最小限に留められるだろうとの楽観的な考え。
インクリーザー内部は鉛テープで振動対策し、アルミパイプ内は一切手を加えない。
もともと、タイムドメインの物はホーニング(鏡面処理)しただけで、吸音材などは使っていない。 塩ビ管の泣き所は筒内壁を吸音処理しなければならない所だと僕は思う。 仮想グランドでの吸音対策だけなのだ。
脚は転倒防止用L金具を使っている。
ネジはすべてステンレスとして、金具の先にインシュレーター代わりにボルトを留めている。
製作
先に作ったSPと変わりないが、インクリーザーの内径がアルミ管より0.5mm程小さいため、ヤスリでせっせと削り出した。 これが結構重労働で、さすがに翌日、少し腕が痛くなる程だった・・・・もうやりたくないぞ。
航空ベニアをインクリーザーに留めるのはパテを利用し、SPに付ける仮想グランドはナットを直接接着剤でSP裏に貼り付けて取り付け。
ここまでは問題なかったが、いざSPを航空ベニアに載せ、ゲルを間に挟んでみると・・・・・・・・SPユニットのターミナル(SPケーブルを繋ぐ端子)が邪魔でゲルとSPユニットをの間にどうしても空間が出来、SPを密着出来ない。 これでは、筒の中の空気が漏れ漏れで話にならない。
やむを得ず、以下の方法で対策する。
1. |
ターミナルを一端外す。
ターミナルはカシメ留めなので、電動ドリルで無理矢理外す。 |
2. |
ターミナル〜SP間の信号線をターミナルから外す。 |
3. |
邪魔にならない場所にターミナル留め穴を開け、この部分にターミナルをネジ留めする。 |
4. |
信号線を不足分だけ延長してターミナルに繋ぐ。 |
これで、ゲルをちゃんと航空ベニアとSPユニットの間に挟むことが出来た。 SPユニットの四方をネジでゆるめに留める。
印象
先に作ったSPと違い随分すっきりした印象。 早速、クリスキットに繋いで音を出してみる。
先のSPに比べ音が随分と軽くなった。 聴かせて貰った本物の音の傾向に一気に近づいている。
ゲルが違う、仮想グランドが軽い、SPユニットが違うなどの違いはあるものの、恐ろしく本物の音に近い音になった印象だ。 メインとしての使用は考えられないものの、出てくる音は納得のいくものだね。
そのうち、余裕があるときにでもホーニングパイプを使ってフルサイズの物を作ってみたいね。
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