ディスクタイプ スーパーラドアンテナ 50MHz用

 シリンダータイプが出来たので、今度はディスクタイプを作ってみることにした。
このタイプはディスクが出っ張るので強風には弱そうだ。 少なくとも弱い台風程度でも簡単にディスク部分の曲がり、少し強いと簡単に破損してしまうと思うので常設は全く考えていない。 あくまで実験用だ。
 今までの情報だと、シリンダータイプに比べ、ディスクタイプは打ち上げ角が低いらしい。
打ち上げ角が低いと言うことは、DP程度の利得が得られるなら遠距離ではこちらの方が有利になる。
いや、その前に、アンテナの大きさを考えるとDP程度の性能でも、そのサイズを考えればもう十分ともいえるか。

製作〜室内でのテスト

 今回はシンプル構造にしようと、自在ブッシュは使用せずに一杯余っているスピーカーコードを使うことにした。
ボビンは直径4cmのポリ容器、ディスク(円盤)はt1×25cm角アルミ板をホームセンターで買ってきた。
後は円盤をボビンに留めるSUSネジと、コードをこのねじに接続するR端子、これは全部手持ちであるので材料費は¥700でおつりが来る。
 
1.アルミ板を直径15cmの円形に切り出す。
2.切り出したアルミ板の中心にネジを通す穴を開ける。
3.容器の底の中心(A)と、底に限りなく近い側面(B)に穴を開ける。
4.コードをB穴から容器内部に差し込み、容器口から抜き出す。

5.抜き出したコードの先にR端子をカシメて取り付ける。
6.R端子にワッシャーとネジをねじ込む。
  このためにはR端子の穴がわずかにネジ径より小さいこと。
7.通したワッシャーとネジが落ちないよう、コードをB穴からゆっくり引き上げる。
8.ネジが容器の底に近づいたら、容器口からドライバーを差し込んで+か−の溝に差し込む。
9.ネジをA穴に差し込む。(ネジ径より少しくらい穴の方が小さい位が良いかも。
10.アルミのディスクを容器上に置き、ネジをディスクの穴に通してナットで締め付けて固定。
11.コードをボビンの周りに巻いていく。(最初は13〜14回位巻いておく方がいい)。
12.とりあえず11回巻き程度の所まで自己融着着テープを巻き、その先はビニールテープで仮固定。
13.リンクコイルは、今回は不要になったオーディオ用ピンケーブルを流用して2回巻き。
   要領はシリンダータイプ製作時と同じ。
14.最後に50cm程の同軸をリンクケーブルに繋いで完成。

調 整

 リンクコイルをメインコイルから5mm程度下げた位置にセットし、ディスクとメインコイルのつなぎ目あたりにディップメーターをあててその時の共振周波数を確認。 チェックしながらメインコイルを切り込んで行くが、メインとリンクコイルの距離は5mmを保つようにしながら進める。

 目的の共振点より少し低めに調整する方が良いと思う。
リンクコイルは上に上げると共振周波数が下がり、下げるとあがる。
この調整が済むと、今度はアンテナアナライザーでSWRとインピーダンスを確認。
 ほかの多くの方が書いておられるとおり、SWRを下げるだけの調整は成功しない場合が殆どです。
あくまで本当の共振点を抑えた上で、インピーダンスの整合をとる事が大切なようで、これを間違えるとSWRは下がっているのにまったく飛ばない、聞こえないアンテナになってしまいます。

 以上が完了して、シリンダータイプの時に使ったマストを使って3階ベランダからアンテナをあげてアナライザーでチャックすると、なんと、共振点が見あたらない。 最低でもSWRは3程度でインピーダンスも全く狂っている。
 シリンダータイプの時は2階ベランダで調整した値のままちゃんと使えたのに・・・・・・・
屋根の影響かと思い、ベランダから斜めにアンテナを出して(倒して)チェックしてみると、しっかり同調している。
 そこで、ちょうどCQを作った時の予備においてあったスプレッダー(グラスファイバーの竿)を使う事にした。
これならあと1mは高さを稼げる。 早速、竿の先端に容器の口を差し込んでビニールテープを巻いて固定。
再び3階のベランダに固定してチェックするとSWRは1.3程度、インピーダンスは75Ω程度。
 家は重量鉄骨で屋根は瓦だが、これを支えるための鉄骨が屋根全体を走っている。
屋根の影響ならこれ以上の調整はやってもあまり良い結果は得られそうにないので妥協。
 しかし、シリンダータイプでは問題なかったのになぜ?
ディスクタイプは打ち上げ角が限りなく低いと言う話を聞いたことがあるが、それで屋根の影響を受けている?

 なお、シリンダータイプもこのタイプも、屋内では簡単にSWRが落ちます(インピーダンスも50Ω)。
ほんとにいい加減な作り方をしても、SWRは1にすとんと落ちます。
このとき、電波もよく飛んでます。 ただ、外に出すと調整が全くずれてしまいますのでご注意を。

 右写真は最終セット時のスーパーラドアンテナ。
いかに小さなアンテナか分かると思うけど、タワーのトップに上がっているのが自作のGPだ。 

実際に運用してみた

 ちょうどEスポが出始めていたのでテスト運用してみました。(2010年6月6日)
条件はシリンダータイプの時と同じで出力10W、SSB。

コールサイン QTH 受 信 送 信 GPとの切り替えによる違い(相手からのリポート)
JE8CRA 札幌 59+ 59+ 59+10dbがラドで、GPでは+20db
JE8LXO/8 十勝郡移動 59+ 59 違いは認められず
JA6PMV/7 宮城県栗原市 59 59 GPでは57

 ちなみに、同じタイプのラドをローカルも作っていて、彼は屋内に置いたアンテナからJA6PMV/6と交信に成功している。 僕が交信した後で出来たそうで、この時貰ったリポートは57だったとか。 ただ、彼の家は標高300m以上の山の上にあるのだが、とはいえ、屋内からのQSO。

最後に

 シリンダータイプの時も書きましたが、製作からここに書いたデータは僕のテスト結果からのもので、誰かが同じように作ってまったく同じ結果が得られる保証はありません。 僕自身、HPでは簡単そうに書いてますが(製作は簡単)、製作までにはいろいろなHPを参考にし、また、仲間との情報交換もし、調整では様々な試行錯誤を繰り返しました。
 また、コイルの巻き具合やリンクコイルのこと、様々な細かい要素が関わってくることも分かって来て、再現性の点ではほかのアンテナに比べて劣るのではないか(少なくとも僕のやり方では)とも思います。 このため、あえて詳細の製作方法や調整方法は書いておりません。
 僕たちはアマチュア無線技師ですから、その辺のことは各自、試行錯誤して完成させて行けばよいのではないかと思うからです。 それがいやなら、メーカー製のアンテナを使うのが一番でしょう。


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