プリアンプ(Mark-8D)のボリューム交換


 我が家のオーディオルームには2セットのクリスキットシステムがある。
一つはマルチシステムを構成しており、もう一つはアクリル筒を使って作ったYoshii9モドキを駆動するためのサブシステム。(右写真) このサブシステムのプリアンプが不調で、長らくパワーアンプにCDプレイヤーを直結して使っていた。 いずれは修理せねばと思っていたが、コロナウイルス騒ぎで一ヵ月あまり仕事を休むことにしたので今まで以上に時間が取れることもあり、重い腰を上げてアンプの修理をすることにした。
 このプリアンプは、クリスキットの社長であった桝谷さんが亡くなられた後、氏の息子さんからパワーアンプと一緒に頂いたもので、神戸の東急ハンズに展示されていたもの。 修理と言っても部品交換の必要はないと考え、とりあえず基板上の半田を全てやり直してみたらこれで修理は完了・・・・っと、テスト演奏してみると音量ボリューム(VR-7)とバランスボリューム(VR-6)でガリが出ている。 VR-7では無音状態でボリュームを右に回して行くと、1時から4時辺りりの間でガサガサと雑音が入る。 両方ともボリュームを動かさねば何ら雑音が出ないので演奏上の支障はないのだが、まあ、気持ちのいいものではない。
 我が家には古い無線機やラジオがあるので、この手の修理は時々する機会がある。
症状が軽い場合は分解せず、接点クリーナーをボリュームに吹き付けてガチャガチャやるだけで治る。 クリーナーは揮発性なので少しすれば蒸発する。 これで治らない場合は分解掃除になる。
 分解しないときはいちいち部品を外したりせず、クリーナーのノズルをボリュームの接点部分に当てて液を吹き付け、いや今回の場合は小さな隙間から吹き込む。 これでVR-6はガリが消えた。 VR-7はと言うと一向に改善されない。
分解掃除・・・・はするのだが、時間も一杯あることもあり、この際、前から気になっていたことを試してみたくなった。
 Monogatari-TherapyというHPの音楽とオーディオと言うサイトで、Assembled Dale 23 Step Attenuator Volume Control についての記事を見たことがこんなことを試みるきっかけ。
無段可変式ボリュームとは違い、23箇所のステップ(接点)毎に段階的に抵抗値の異なる金属皮膜抵抗を取り付けてあるアッテネーターというやつだ。 アマチュア無線では無線機にATTが付いているので、通信状況に応じて使うことがあるね。いいチャンスなので、早速、50kΩのものを購入して交換してみた。
 
 
       
 購入したATT  左がオリジナルのVR  ATTの取付穴の様子  ATT取付状態
交換手順
 1. 天板と底板を取り外す。
 2. モードセレクター、バランス、音量ボリュームの摘みを外す。
パイロットランプは、パネル裏のワッシャーとナットを外して手前に引き出すだけでよい。
 3. 本当はここで化粧パネルを外して作業するのだが、このATTの取付穴径は9mmあって、オリジナルの6mm穴では取り付けられない。 さらに、供廻り防止用のコブの径や位置も違うので、取付穴の拡大と供廻り防止コブの穴を新たに開ける必要がある。 穴あけ作業はパネルを付けたままの方が簡単。
ただ、穴あけの際の切子飛散を防止するため、音量ボリューム(VR-7)だけを外してから、アンプ内に新聞紙でマスキングをする。 なお、音量ボリューム(VR-7)の配線は、この時点ではそのままにしておいた方がいいね。
4. 穴開け作業だが、僕の手持ちの鉄鋼ドリルで8mmの次に大きいのは10mmになり・・・百均で9mmを買ってくる手はあるが、ここは横着して8mmの穴を開けた後、木工用の9mmで穴を拡大した。
 5. 次に、供廻り防止コブの穴を開けるが、これはパネルを外さないと出来ない。 穴はフレームと、フレーム側アルミ化粧パネルに開ける必要がある。 
 6. 穴が開いたら切子が飛散しないよう注意しながらマスキングを除去し、念のためアンプ内や化粧板を奇麗にしておく。 そしてパネルを取り付けてからATTを取り付ける。
 7. ATTにはあらかじめ結線用の細い電線が付いているが、僕はこの線をそのまま利用してアンプ側に結線した。 
 8. 摘み類を取り付けてから配線の目視チェックを行い、テスターを用意してからスイッチON。
・GND-Vcc間に36Vあることを確認。
・GND-T.P.間で17V程度であることを確認。
最後に天板と底板を取り付けて終了。

 なお、今回使ったATTの軸はMark-8DのVR軸より長いので、オリジナルの摘みではちょっと不格好になります。
軸を切断するか削るかして短くしても良いけれど、手持ちで使えそうな摘みがあったのでそれを付けてみました。
そのうち、いいのが見つかればまた交換するかな。







 
使ってみて
 まだ一日しか聴いてないので何とも言えないが、音の鮮度が増したような印象を受ける。
ただ、以下の点がオリジナルのVRと勝手が違うかな。
 ・ 摘みを回すとき少し力をいれないといけない。
まあ、無線機のATTの摘みと同じ感触なので僕には違和感はないが。
23ステップしかないので微妙な音量調節は苦手。
もし購入検討する場合、回路図でパフォーマンスカーブを確認しておくことをお勧めする。
接点のガリ音は・・・・多少ある。 そのうち分解して接点掃除し、国産の接点グリスでも軽く塗るかな。
 ・ 心配点としては接点の耐久性だろうか? やっぱり国産の方が安心感が・・・・・ 
 とりあえずオリジナルのVRは分解掃除して保管するので、拡大した軸穴を加工しなければならないがいつでも元には戻せる。 まあ、今聴いている音を考えれば、大音量時にやや音が硬くなる気もするが、このまま使うことにはなりそうだ。