オークションで球管ラジオを購入 昔、そう僕が小学生の頃の話だが、我が家には蓄音機と電蓄があったとオーディオの部屋で書いた。 当時の僕にとって蓄音機の音に比べると、電蓄から出てくる音はそれほど魅力的に感じるものでもなかったとも書いた。 それは、理屈など解らなくても、電蓄やテレビはスイッチを入れれば電気が流れて、音や映像が出てくるのが当たり前のものであったからだろう。 なにしろ、電気ってものは万能な物だとすら思っていた。 むしろ、電気も使わずにあんな黒くて重たいレコードから音が出てくる事の方が不思議だった。 時が流れてもう何年だ・・・・・・ インターネットオークションを何気なく見てて、オーディオコーナーのラジオ欄にアンティークと言う文字を見つけた。 ちょっとした興味をかき立てられた僕はそのアンティークラジオのカテゴリーをダブルクイック。 あるある、一杯の昔懐かしい形をしたラジオ達。 ラジオを聴きたいという事よりも部屋のインテリアにと思い、我が家の雰囲気に合うようなデザインの物をいくつかウオッチングリストに登録してみた。 何日かこのカテゴリーを見ては気に入ったラジオをウオッチングリストに登録してはみるが、動作確認された物で、僕の予算に合い、さらに、気に入ったデザインの物がなかなか出てこない。 そんなある日、ゼネラル製のラジオで動作確認済みと言う物が比較的安く出ていた。 「これなら万一、音が出なくても飾りにはなる。」 そう思った僕は早速このラジオを落札し、数日後には手に入れた。 オークションで古い物を買って、その品物が届いた時はワクワクする。 新しい物なら状態や性能の心配をする事もないが、古い物となるとやはり心配半分期待半分ってところだろうか。 車でもそうだが、中古品を買う場合完品は期待できない。 何か問題があって当たり前なのだ・・・・これが僕の中古品を買う時の姿勢。 だから、車でも何でも、中古を買う場合はその品物代金の2〜3割を購入後の補修、修理費として必ず見込んで予算を考える。 もし、不具合が見つかっても、この余分に見越した予算内で解消出来れば、それはそれでOKと言う訳だ。 このオークションウオッチングの間、そして落札から品物が来る間に僕は球管ラジオ関連のサイトを見て回ったり、図書館で真空管関係の本を借りてきたりして回路や修理について僕なりに勉強してみた。 僕も一応はアマチュア無線の2級免許は持ってるし、ハム歴も30年近くなる・・・・とは言うものの、ラジオ少年だった訳でもなければ、工作派のハムであった訳でもない(アンテナは色々自作するけれど)。 一応、国家試験の為に受験勉強をしたのだから、真空管やその回路、受信機なんかの回路についても基本的なことは勉強している筈。 でも、この程度の知識や経験では、購入したラジオに万一、不具合でもあれば対応出来ないだろう。 インテリアになればそれでいいとも思っていたが、やはり僕もハムだから、万が一の場合を考えると、ハムの虫が騒ぐ。 届いたラジオを箱から出すと、すぐにでもコンセントに繋いで音を出したいのは山々だが、まずはその前にラジオの中の様子を確認しとかないといけない。 何しろ僕が調べた限りではこのラジオ、昭和20年後半からせいぜい30年前半に作られた物で、僕とほぼ同じ年齢ってことになる。 単純に考えてもコンデンサーや抵抗の老衰があって当然だし、配線状態だってまるまる出品者の動作確認済みの言葉を信じる訳にもいかない。 動作確認済みはあくまで動作の確認が取れていると言うだけの事であって、安全である事を意味しないのだから。 実際の点検や修理内容はその後購入したもう一台のラジオと一緒に後述しよう。 一応の目視点検は済ませ、どうやら以前、クリーニングと修理の形跡がみられたので、後は出品者の言葉を信用して早速、コンセントに繋ぎ、恐る恐るスイッチを入れてみることにした。 まるで時限爆弾の配線を切る時のような気分で電源兼ボリュームのスイッチを右に回す。 カチッと心地よい音がしてパイロットランプに赤い灯が灯る・・・・・・緊張の数十秒が過ぎ、ブーンという低いハム音がスピーカーから出てきた。 んっ?? このハム音、ちょっと大き過ぎやしないかい? まあいい、ハムならある程度対策も出来る。 取り敢えずモードを中波にしてチューニングツマミをゆっくりと回す。 低い雑音が突然途切れ、放送が入ってきた。 信号強度は不十分だが、これはラジオから出ているアンテナ線が貧弱なためで、応急対策はすぐに出来る。 僕の短波無線用アンテナは自作のキュピカル・クワッド。 僕はループ系アンテナが好きなので、取り敢えず応急にループアンテナを作ることにした。 適当な空き箱を用意して、これにIV線をぐるぐる巻き、片方をアンテナ線、もう片方をアース線に繋ぐ。 こんな簡単なアンテナでもしっかり指向性が出ていて、箱を電波方向と直角の位置に向けると全く電波が入ってこない(写真では正面から電波を受けるようになる。) 反対に、電波の方向に向けると、あの大きなハム音をまったく意識させない位強力に電波を受ける。 家で使うにはこれで十分だ。 今回は波長計算やポリバリコンの使用は全く不要なようだね。 |